モンテッソーリ教育法
お仕事ってなあに?
マリア幼稚園の子どもたちは、「きょうは、なんのおしごとをしようかな…」と毎日お部屋の中にあるモンテッソーリ教具や教材を選んで、満足いくまで楽しんで取り組んでいます。
なぜ『お仕事』と子どもたちが呼ぶのかというと、活動を通して子どもたちは自己形成をしている為、遊びとは分けるために『お仕事』と呼んでいます。
マリア・モンテッソーリとモンテッソーリ教育法
マリア・モンテッソーリ(写真)は、イタリア最初の女性医学博士の一人です。ローマ大学卒業後、障害児の治療教育に携わり、実験心理学、 教育学にも研究分野を広げました。その間、フランスの医師セガンの著書に出会い、その理論に従って治療教育を進め、大きな成果をあげました。
また、1904〜08 年には、ローマ大学教育学部で教育人類学を講じました。
「障害児と取り組み始めた当初から、私が用いている方法は、障害のある子どもの教育だけにとくに限定されるものではない、と感じていました」と、マリアは書いていますが、やがて、障害児に用いた教育法を健常児にも適応する機会が訪れました。
ローマ不動産協会が貧困層向けのアパートに保育施設を設け、その監督・指導をマリアに任せたのです。
その保育施設が『子どもの家』です。
『子どもの家』(現在ではモンテッソーリ教育を実践する幼児教育施設をいう)はこうして1907年1月に生まれました。
そこでの実践から生まれたのが、「モンテッソーリ教育法」です
マリアはその後、この教育法の普及と教師の養成に精力的に取り組み、多くの著作を残しました。
晩年には、平和と子どもの生命の尊重を訴える運動を展開し、ノーベル平和賞の候補にもあげられました
マリアは、ファシズムを逃れて移り住んだオランダで亡くなりました。
その墓碑銘には、「愛する全能の子らよ、人類と世界平和のために、私と力を合わせよう」というメッセージが記されています。
モンテッソーリ教育の内容
モンテッソーリ教育では、子どもの内発的な発達プログラムに基づいて、次のような実践課目を設けています。
それぞれの課目には、独特の体系を持つ教具が用意されていますが、子どもは必ずしもそのカリキュラムに従って活動するわけではありません。
あくまでも子どもの自主性が尊重されます。
お部屋の中にあるモンテッソーリ教育の教具・教材
お部屋の中にある教具は、子どもたちの自発的な活動を援助するために次の5つの実践科目に分かれた環境構成になっています。
日常生活
大人の真似をしたい時期に大人がする日常生活上の動作を、手先を使い活動することで、子どもは自分の意思どおりに動く身体を作り、自分のことができるようになります。
[教材紹介]感覚教育
大きさや形状の違いなど教具を使いながら感覚を洗練させ、抽象概念を獲得し、ものを考える方法を身につけるようになります。
[教材紹介]言語教育
絵カード・文字カードなど発達段階に即した教具を使いながら話す・読む・書くの作業を通じて語彙を豊かにすることを目指します。
[教材紹介]算数教育
具体物(ビーズなど)を用いて量を体感させるところから始め、系統化された多くの教具によって細かい段階を踏みながら抽象へと導いていきます。
[教材紹介]文化教育
歴史・地理・生物・音楽などの内容を身近な事物に触れたり、観察したりしながら文化を獲得していきます。
[教材紹介]モンテッソーリ教育の教具・教材紹介
[感覚教育 ピンクタワー]
10個の大小の立方体を大きいものから順に積み上げます。
『大きい』・『小さい』を理解していきます。
繰り返す中でいろいろな並べ方を考えたり、ペアで1つ抜き出した立方体をあてるゲームも楽しんだりするよ。
[感覚教育 秘密袋]
一人ずつ小物(握った時に手の感触が異なるもの)が入った袋を持ち、手の感覚だけで同じものを選び出す。
立体認識感覚を発達させます。
目で見ず、手で触っただけで物のイメージを頭に描く訓練にもなります。
[感覚教育 茶色の階段]
10個の太さの違う直方体を太いものから順番に並べていく。
『太い』・『細い』を理解していきます。
バリエーションでは、ピンクタワーと組み合わせていろいろな並べ方を考えて楽しむのが人気です。
[生活教材 玉通し]
穴の開いた積み木やビーズをひもに通していく。
最初は大きな積木からビーズへと段階を経て取り組みます。
[生活教材 のり貼り]
台紙にかかれている模様の枠の中に、筆を使ってのりを付け、
同じ形の色紙をピッタリ貼りつける。
応用では、片ぬき紙を組み合わせて模様を作ったりもします。
[生活教材 紙切り]
ハサミを使って紙を切る。
第1段階 1度で切り落とせる幅のもので好きなところを切る
第2段階 1度で切り落とせる幅のものに線がかいてあるものを切る
第3段階 形になっているものを切りぬく
段階を経て少しずつハサミを上手に使いこなせるようになります。
[数教育 つむ棒]
数字の数だけつむ棒を入れていく。
『0(ゼロ)』の紹介とその意味をはっきりと知ります。
[数教育 赤い玉と数字]
型ぬき数字を1〜10に並べた後、同じ数だけ赤玉を並べる。
第2段階として『奇数』と『偶数』を紹介します。
[言語教育 絵カード]
カードに描かれた絵の名称を発音した後、
絵と文字→文字のみのカードを同じものの下に並べていく。
文字に興味を持ち始めた子どもから取組みます。
[文化教育 日本地図パズル]
都道府県ごとに分かれたパズルを地方別にはめ込んでいく。
たくさん取り組んだ子どもは、県名を覚えたり、白地図に色を塗り、県名を書き込み地図帳を作ったりもします。
[文化教育 日本地図パズル(地図の色塗り)]
地方別に分かれた白地図を県ごとに色を塗り、県名を書く。
出来上がった時には「地図の本ができた!」と、とても嬉しそうにしています。